さて、タイトルの時点で相当数をノックアウトする今回のお話。
必要な人には面白いお話ですが…知識としては面白いので持っていて損は無いでしょう、ちなみにMA系ですが自分以外を絡める話ではありません、類ですが向きが違う感じです。
これは
一つの会社で不動産を複数所有している場合、分社で節税出来るかもってお話。
普通に法人を興して不動産渡せば良いじゃんですが
これは法人から法人への「売買」となり、仲介業者は絡まないので、
取引手数料(およそ3%)程度が無い(3億の取引なら900万)為、土地家屋の所有権移転費と固都税の他に「不動産取得税」という土地家屋に対して評価額の4%程度の税金があります。
これらの費用や取得税、司法書士への報酬等は開業費(創業費など)の仕組みで繰延出来る為、今後の益に当てれば良いんじゃないの?って思うかもしれませんが、具体例で見てみましょう。
3億の物件で表面利回り8%、2400万の内返済・諸経費で上手くやりくりして利益400万だとします。
土地家屋の価値が計2億だったら登記費用で400万、取得税で800万かかります。
これだけで3年分の利益をまるまる吸われます、さらに毎年法人税で課税所得400万に対して100万程度の納税がある為、デメリットが際立ちます。
ちなみに所有権移転登記は免許が無くても良いし、法務局に行かなくても出来るので、土地家屋評価額の2%を支払って依頼するのと自分でやる費用を比べて検討してみてください。
さて、では本題。
所有権移転登記を自分でした上で、「取得税800万」も発生しないとしたらどうでしょう。
それが今回お話する
【分社(会社分割)】
により免除されるケースがある。という事ですね、見ていきましょう。
要件がややこしいので少し噛み砕くと
パワポ先生のアイコン使いまくり。
後述しますが分割型分割と分社型分割で結構大きく違いますが、要件はそれほど差は無いのでまとめて説明、両方とも共有の項目1の①は
分ける会社から元の会社(自分)へ交付するのは株だけだよね?
という事。
無ければOK、あると普通に「800万(仮)払ってくださいね」だ。
1の②は1人の会社なら関係無いが
元の会社の株主達にも、株持ってる割合だけ株渡してるよね?
という事。
株を配偶者と半々にしたのを忘れて申請すると×、修正は未経験者にはかなり厳しい戦いになるでしょう。
そして「2」の該当していないといけない3つの項目
① 分けようとしている物件に絡むものは全て分社先に移動していないといけない。
② これからもその物件を継続して管理する事
③ 事業はいきなり出来ないから主に関わっていた人が80/100異動している事
②を理解した上で分社したからと言って免税事業者の2期が経過した時点で売っても別に罰則は無いし、③は一人会社だったら代表本人が兼務しても構わない。
と、こういう事ですね。
③は理由としては多少無理があるようにも見えますが公式にOKが出ているのでOK。
事業継承するのに時間は必要ですからね!
先ほど少し話が出た「分割型分割」「分社型分割」について少しお話します。
分割型分割は全部自分で株を持てて、分社型分割は分割法人が分社先の株を持つ仕組みです。
益を受けるのが個人なのか会社なのかの違いですね、この時点では要件を満たした状態であればこれらの取引には課税されません、株以外に現金や利益などなんらかを渡したらみなし配当となり、20%程度を徴収されるのみならず、取得税も発生しますので…ん?これは税理士さんなのかな?MA関係に強い税理士さんならより詳しく教えてくれると思います。
先ほどの例でいうと、不動産取得に係る税金の取得税は非課税となり800万は「会社の実態に合わせて変更しただけ」なのでゼロです。
さらに法人税は2期分免税されるので、先ほどの例で言えば100万×2で200万の節税になりますが、せっかく免税事業者なので上手にやりくりする事でさらなる節税が可能です。
さらに5年以上(出来れば6年)所有してから売却予定の物件であれば、短期所有譲渡では無くなるので、不動産ごと売却も視野に入れたい所ですが、元の会社の資本金や、新会社の資本金でも状況により諸々あるので、長いスパンの検討をお勧め。
売る側ではなく買い手に主にメリットの強いお話かもしれません。
例えば売る側のメリットは前回少し触れた法人の税率で
売却益が出ると、最低22%から最高で36%程度の税金がかかりますが、個人の場合は株を売(譲渡)った時の課税で、配当とかと同じ20.315%です。
20.315%なんだからそう書いてくれよ…
しかも上下違うっぽい書き方してるけど同じじゃん…
ここもコロナ復興の名目で増えそうな場所ですね、よくチェックしておこう。
法人で不動産の売却益が5000万だよ~なら法人税1700万、MA会社に依頼して手数料で500万払って会社ごと売却して5000万で株を譲渡したよ~なら914万(出資ゼロ)。
法人で売却の場合の手残り3300万、法人ごと売却の場合の手残りは3586万。
286万の差がありますが、MA会社さんの手数料によっては法人で普通に売った方が経費で色々対策も打てるので、法人で売った方が結局オトクみたいな場合もありますので、担当の税理士さんによく相談してみましょう。
買う側のメリットは今回説明した「取得税非課税」を受けられます。
つまり今回のケースで言うと3億の物件、2億の評価だとすると800万の取得税がそもそもかかりません、株を譲り受けただけですからね。
法人で利益と相殺するも良し、個人で処理して損失繰越すれば良し。やりようもありメリット部分が強いですね。
大体は相手がMA会社を使っているので、借入の引継ぎもそれなりにスムーズに進むでしょう。
今までどのように償却してきたか?残債はどの程度か?自分のケースでシミュレートし受け攻め組み立てるのが一番ですね。