社会保険の適用拡大からの年収の壁問題、企業と個人の負担を考えてみる。

いや~インボイスからのフリーランス保護?やら保険証の半強制問題やらこれ以上どう悪くしてくるんだってのが論点になるほど毎回ひどい有様の法改正です。

そう、保険証半強制ですよ、任意取得のマイナカードが外堀を埋めてきましたね。

警察庁が「本人確認書類から健康保険証を抜くかも」とか半ば事実上の義務化みたいな状態になるかも…ってんでなかなかの荒れ具合、多分健康保険証を抜いて資格確認証を入れるって着地だと思いますが、もっと上手くやればいいのに~。

マイナ事業も税金で初期導入コスト、運用コストも相当かかっているでしょうからどうせやるならジワジワ来ないで納税とか義務とセットにして一気にやってもらいたいものです。

さて、では…

社会保険の適用拡大について

社会保険適用拡大 特設サイト – 厚生労働省

なんと厚労省が特設サイトを作成、年収の壁について政府側が触れてきましたね…それを「壁」だと表現してそこに規制を重ねてくるあたり末期な感じがヒシヒシ。

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/より、あんしん招き猫。

とりあえず猫がかわいい。

今回の拡大範囲は従業員数、今までは従業員数が101人以上の企業で働くアルバイトさん達に対して

☑ 週の労働時間が20時間以上
☑ 月額賃金が88,000円以上(年106万)
☑ 勤務期間が1年以上見込まれる
☑ 学生でないこと

と、全てにチェックが入ったら社会保険に加入ね!としていたものを51人以上に範囲拡大したってお話ですね。

まぁでもこれだけだと

「おい!今でも厳しいのに扶養から外されたらもっと働けなくなるぞ!」

となると色々吸い上げられなくなるので困ります、なので…

106万の壁(月88,000円)の社会保険に加入するから就業調整をしていた人に対して

活用イメージで時給1,000円計算してるけど2023年の最低賃金の全国加重平均1,004円だったし、2024年は50円アップだし…ってまぁいいけどなんだメニューって。

そして簡単に20万とか書いてありますが、すごい細かく申請しなければなりません、かつキャリアアップ計画書を提出して受理されなければ使えない制度です。

留意しましょう。

社会保険料分を上乗せしてくれたらちょっとの間助成金出すよという今は良いけど後で地獄を見る鬼畜な対策、そうですね…例えば106万の壁を利用して東京で働く45歳のYさん(仮)で見てみましょう。

(1)手当等支給メニュー/企業目線①

1年目:月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として15.84万円(15%追加支給)を支給、社会保険に加入させるので8.8万に対して厚生年金8,052円と健康保険料で5,095円、雇用保険で600円、年16.5万の負担が発生しますからコストとしては32.33万円増えていますので助成金20万円では足りませんね。
2年目:1年目と同様、助成金は20万円。
3年目:月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として19万円(18%追加支給)を支給、助成金は10万円。

企業側としては19万円を支給し、社会保険料が値上がっていないと仮定して年16.5万の負担が発生しますからコストとしては35.5万円増えています。

そして延長でも無い限りは4年目から助成金は無い感じなので、社会保険料の半分負担という形で会社も年16.5万円を負担し続ける状態になります。

1人あたりの助成金は最大50万円、支出は100.16万円。
なんとも…な制度ですね。

(1)手当等支給メニュー/企業目線②

1年目:(1)で社会保険適用促進手当として15.84万円を支給し、助成金20万円を受け取る、社会保険料の負担が16.5万円発生するため、実質的なコスト増は32.33万円。
2年目:18%追加を先に取り組んで先取り、月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として19万円(18%追加支給)を支給、助成金は30万円。

手当として1年目に15.84万+2年目に19万円を支給し、社会保険料が値上がっていないと仮定して年16.5万の負担が発生しますからコストとしては67.84万円。

助成金は50万円、支出は67.84万円、こちらの方がまだ傷は浅め。

こちらも同様に社会保険料の半分負担という形で年16.5万円を負担し続ける。

(1)手当等支給メニュー/個人目線

1年目:月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として15.84万円(15%追加支給)もらえる、でも社会保険料で厚生年金8,052円、健康保険料で5,095円、雇用保険で300円かかり16.13万円引かれるから、年105.6万じゃなくて年105.3万円に。

2年目:1年目と同様、3,000円ぐらい引かれて年105.3万円。
3年目:月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として19万円(18%追加支給)もらえる、社会保険料で引かれるのは16.13万円だから2.87万円増える。
年105.6万ではなく年108.47万円に

4年目は助成金が無いので年105.6万円ではなく年89.47万円に、今回の制度では企業と個人の双方にとってコスト負担が厳しくなることが予想されますね。

助成金&制度に乗っかった場合の被害状況

企業:社会保険に加入したアルバイトが通常より賃金高めの状態になる可能性を残して増える。
個人:加入しなくてももらえた年金が有料になり、健康保険も扶養だったので無料だったのに有料になる、今までより多く働くも手取りはほど変わらない。

なにこれ…。

おまけで(2)も活用した場合

企業側は助成金は変わらず50万だし社会保険料が増えるだけなので割愛、個人。

1年目:(1)メニュー、月8.8万(年105.6万)なので「社会保険適用促進手当」として15.84万円(15%追加支給)もらえる、でも社会保険料で厚生年金8,052円、健康保険料で5,095円、雇用保険で300円かかり16.13万円引かれるから、年105.6万じゃなくて年105.3万円に。

2年目:(2)メニュー、時給1,200円で週およそ17時間で働いていた場合、5%UPで時給1,260円、週17時間だったので週20時間になる事で年106万から年131万円に。
社会保険料は7等級で厚生年金10,065円、健康保険料6,369円、雇用保険300円で年20万円引かれるので、年131万円になったけど手取りは年111万円に。

週に3時間、年156時間も多く働いて時給1,260円なら20万円も今までより多く働いたのに増えたのは5万円だけ、これが搾取でなくてなんなのか。

事業主がこの助成金を全部くれるって言うなら2年目もまだちょっと許せるかもしれないが、事業主の負担も増えているのでその補填になる事でしょう。

ちなみにこれは厚労省がYouTubeに出している動画で

【マンガで分かる!】『年収の壁対策』助成金の活用モデル~労働時間延長メニュー編~

の一部で「助成金の活用モデル」なのですが、ハッキリと時給1,000円の人が1,050円になって週3時間、年156時間多く働いたとして104万円から126万円と22万円増えるも手取りは3万ふえるだけです。

という鬼畜の所業の図、「\手取りが増える!/」じゃねーんだわww

働き控えを抑制する為にやった策とは思えない雑な搾取仕様っぷり。

個人からは時間とお金を搾取し、雇い主からはお金を搾取し、吸い上げた先がより富むのはこれまでの制度であり税金でありますが、今回のはちょっと簡易的というか無理があるというか粗が目立つというか…今までの制度より雑な感じがします。

むしろ「働き控え促進制度」のように見えてくる。

51人以上であっても週20時間以内であればむしろ130万の壁を越しても事業主の協力さえあれば「繁忙期でした😁」とする事が出来ます。

もちろんこの「繁忙期でした」がいくらまでと上限を決めてしまうとそれが新たな上限になってしまう為文章として明記はしていませんが

図解で明記されています、年140万だった場合に「事業主の証明により引き続き被扶養者として認定」という図が厚労省のPDFに記載されていました。

今後は微量に超えてしまった場合でも140万の範囲の中で超えてしまった場合でも「繁忙期でした証明」さえあれば一定した金額は流石にダメだと思いますが、1~2か月だけ多くなったとしても認められやすくなる可能性があります。

全員分を頻繁にやってると流石に突っつかれるかもしれませんが🤣

今回の制度は前向きに捉えれば年106万の方の働き控え促進、年130万の方の新たな壁って感じですかね。

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しかし…こんな事するならHD含む繋がった法人全体の社会保険加入割合によって法人税軽減とか社会保険の等級そのままで費用は1段階下げるとかした方が経済界の皆様も方法を考えてくれるだろうし社会課題の解決に一歩前進するような気がしますが…

まぁ、それはないか🤣

社会保険の制度として低所得者の負担を軽くするって部分でさえ紛れた高所得者を潰す為にこれほどの事をしないといけない、迷惑しているのはその状況の人達全て。

もっと頭の回転が速く若い人、そして現場を理解できる現場でも輝く人をこうした法改定に登用して欲しい、そして65歳以上は脳トレとか実力検定してダメなら落としてくださいよ、世の中の人はもうそれで定年なんだから🤦‍♂️

あ、そうだ最低賃金もほぼ確定してるっぽいから記事にしておこうかな。

ではでは。

(リンク先と画像は全て厚労省のページから)

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