【通勤手当の非課税限度額の改正】超過分へ課税するという構造に潜む違和感
改正後の非課税限度額は距離に応じて非課税限度額が引き上げ。
片道55km以上 → 月38,700円(改正前31,600円)
片道45〜55km未満 → 月32,300円(改正前28,000円)
片道35〜45km未満 → 月25,900円(改正前24,400円)
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片道2~10km未満→4,200円(改正前と同じ)
…というように増額するようです。
本記事の最後部分に国税庁のページを引用しましたのでご確認ください。
制度の根本的な違和感
通勤手当は従業員が業務に就くために必要不可欠な経費を従業員が肩代わりしているだけなので、その補填に課税されてしまえば少なくとも所得税と住民税は二重課税。
例えば従業員がすでに源泉などで所得税や住民税などを納付した手元の税引き後所得を使って車移動により、リッター10kmの車で通勤距離は9kmで往復18km、月に20日間勤務し月間走行距離は360km、ガソリン36L使用で暫定税率廃止後としてリッター150円なら月間5,400円ほど支払いました。
非課税限度枠は4,200円なので毎月800円は持ち出しが発生しますので、会社から実費負担として5,400円を支給しました。
その場合受け取る800円には再び源泉所得税と住民税が引かれます、5,400円を支払う時に使ったお金ですでに源泉所得税と住民税は引かれているのに。
手元所得にする為に「所得税」「住民税」を納付。(源泉で徴収済み)
ガソリンで「消費税」「揮発油税」を納付。
実費負担として受け取った通勤手当の超過部分で「所得税」「住民税」を納付。
2回目の「所得税」と「住民税」がありますね。
え?企業が非課税枠しか出さなければ二重課税にはならないだろうって?本人に負担しろって言うんですか?今のこの人手不足の極みのような時に?
え?片道9kmではなく片道7kmの所に引っ越せって?引っ越し費用もそうだけどその家賃は誰が払っているのでしょうかね?この都市集中の需要がある場所は狭い日本でそう都合よく駐車場のある会社から近い場所が見つかりますか?
え?リッター10kmの車は燃費が悪いだろうって?新しい車を買ってあげられますか?社用車ならその車を買い替える体力はありますか?車の値段は上がっていますが?
実態として人手不足の現状、掛かる費用を支払えない企業に人は集まるでしょうか。
…という事で、私はこの非課税の「限度額」という部分に二重課税のリスクのある構造だなぁとなかなかの違和感を持っています。
移動の透明性を高めた上で全額非課税、透明性の低い紙媒体や明細のない移動は全額課税で良いのではないかと思うワケです。
昔のように簡便性がないと処理できないって世界でも無いので、定期で色々使えるけど全額会社で経費化…とか本体なら按分されるべきものを防ぐという観点からも透明性を高めた上での全額非課税がもっとも合理的なのではなかろうか…🤔
でもアメリカでは全額課税なんですよね、住む所は個人の自由だから移動にかかる金額はその自由で移動してきてるんだから課税するよん🫡という。流石自由の国。
切符を買ったり現金で支払った領収書に関しては証拠がない、色が付いていないものに色を指定するのは制度の脆弱性を生む、なので課税対象!は強引、通勤費は個人の自由により発生する生活費の一部と言えるので全額課税!も日本では無理がある。
折衷案というか中途半端にやっているからなのか、ただシンプルに私の感覚がおかしいだけなのかは分かりませんが違和感がすごい。
全額非課税にしたとしても、透明性の徹底により不正防止が効いてむしろ通勤手当でなくなった部分が給与や手当となれば徴収税額の増加も見込めると思うし、不明部分の多い紙ベースや切符、領収書は完全無効にして履歴付き明細で自動計算できるタイプでないと非課税とは認めないとかすれば税務署の監査負担?も軽減されるだろうしなにより個人の負担が軽減されます。
そうすると問題は法人かぁ…事務負担は減るだろうしコンプラリスク低減にもなるし人財確保の強化なんかは目に見えて感じるかもしれませんが、システム初期投資はもちろん、実費負担が増えれば単純に支出も増えるし微妙なラインなら社会保険料の負担も増えるだろうし…ってそれは個人もそうか。
秩序を作り国民生活を支えるための仕組みを作る政府にとっては当然良い状態である上で、国民に良い、社会の公器である法人に良いという持続可能な仕組みを考える必要は本来ありませんが、考えてみたい。
それが自分の会社や未来にとって意味があるかもしれないから。
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以下国税庁のページより引用↓
詳しい内容については、こちらを参照ください。
・通勤手当の非課税限度額の引上げについて(PDF/140KB)
・年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例(PDF/702KB)
・通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&A(PDF/258KB)
・【動画】通勤手当の非課税限度額の引上げについて(YouTube「国税庁動画チャンネル」(外部サイト))国税庁-通勤手当の非課税限度額の改正


