最近は節税や所得控除等の対策がライフワーク化していますが、面白いモノで知識を付ける度に聞いてくる人や相談される事も増えているように思います。
今回は合理的按分という名の敵と戦います。
「合理的な節税」を合理的に防いでいる風に見えるだけのハリボテな仕組みですが、「何も考えないで他と同じように」しなければほぼ無条件に経費化出来る枠を増やす事が出来るという事ですね、土地・建物を合算して譲渡してくれる場合の内容です。
ではいきましょう。
例えばRC造、築20年で2億の物件を購入したとします。
土地は45坪(約149㎡)、建物は延べ135坪(447㎡)容積率は80%の300ジャスト。
その時、このように表示されていたとします。
こんな感じ。
これは固都税評価額が仮に土地5400万、建物3600万だったとすると、比率は6:4ですね。同じように売買代金で計算するとこうなるのでそう設定したか、国土交通省の再調達価格を参照して設定すると、どちらも大体は建物の方が安くなります。
つまり償却金額を低めに定め、節税しにくいようにしているという事ですね。
中古資産の耐用年数(償却可能な期間)の計算は
耐用年数-築年数+築年数×20%
今回の例だと(47年-20年+20年×20%)なので31年ですね。
償却月数は期首には所有していたとして12か月。
定額法で計算、細かな追加を無視したとすると
取得価額8000万、普通償却額は年258万です
2億の物件で利回り6%だとして年1200万、返済は頭金2割入れて半分返済、不動産管理で15%(180万)かかったとしましょう、で、社長報酬年240万、うん、超ざっくり。
法人税は87万払って、報酬240万で、会社には23万残っている状態です。
取得税とか購入時費用とかもありますが、経費計上的には複雑になるので割愛します、実際は会計士と計算すると思うので、極力簡素的にいきます。
ちなみに役員報酬は上記の計算で程よい所にしているので、本当はもっと低い設定じゃないと会社にお金は残りませんが、経費で購入すれば似たようなものですね。
はいここまでが一般的な所。
肝はここから。
最初の所有者から購入する場合、こういう事があります。
売買代金のみの表示で、土地建物の価格表示がありません。
この場合に元の値が無いので「固定資産税による合理的な按分」で計算すると上述と同じようになりますが、国税庁が公表している「路線価」というものがあります、これは「1㎡あたりの土地価格」が分かる情報で、相続税や贈与税の計算をする時に利用されたりします。
建物の方が安い場合はこっちを使えば良いのです。
Amazonのある千葉県市川市塩浜の路線価は約14万/㎡
スカイツリー前の大通り、大門通りの路線価は約49万/㎡
工業・住宅・防火地区など様々な要因はありますので、仮に40万/㎡と設定します。
土地45坪(約149㎡)なら5960万です、建物が14040万になってしまうのでちょっとやり過ぎですね。
周囲の金額で一番高い所に合わせて見ましょう。仮に60万/㎡と設定するなら8940万です。建物は11060万で計上する事が出来ます。
路線価による合理的な按分により
こうなり、償却は同じ年数なので、取得価額11060万、普通償却額は年356万です。
すると
こうなります。
法人税の支払いは減り、手残りが増えます。
最初にするかしないかだけです。
法に背いてはいません、合理的です。
国税庁が相続税でも使用している値と同じ値を活用しているだけです。
土地は償却出来ません。
坪単価で按分しても良いですが、根拠が弱いので、路線価の方が良いのではないかと思います。
結論、建物の金額が固定資産税の按分の方が高くなるならそちらを選べば良いし、路線価の方が高くなるならそちらを選べば良いという事ですね。
最大の留意点、これは
購入時にしか出来ない対策です。
持っている物件でやろうとしてもダメです。
いずれ税務調査が入っても自分で「路線価を利用して合理的に按分している」とスムーズに説明出来れば問題ありません。実務上やっている人はやっているからです。
このやっている人は元々お金持ちもしくは天下りマン達で、やっていない人が初めて物件購入する人とかなので、ほぼ金融屋ばかりで構成されているからか、この業界は慮りが無いなぁとつくづく思います。
条件入れたらAIが控除と対策と使える助成金を自動で出して、取得時コストと出口もしくは建て替え、修繕までの将来的な資産推移を出して、良ければその場で一気に申請とか出来れば会計士が…泣くか。
せんせ~い、もうそういうの出てきても良いと思いま~す。
たまにこうして動画を貼りますが、ひろゆきさんがどうという事ではなく、
社会の「今」を皆が勉強して「学ばなければならない事ほど教えてくれる人はいない」という事を理解し、自分で調べるというスキルを身につけなければならないと感じます。
勉強しているつもりでも思考停止している部分は相当量あると思います。
とはいえ楽しくなければ学べないと思うので、楽しく出来るならやるべき、ですね。
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