年収の壁が178万円に!…という新たな年収665万円の壁が新設するお話。

今年と来年(R7~R8)は基礎控除が今までの48万円から合計所得665万円以上の人は58万円に、それ以下の人は段階的に63~95万円、再来年(R9)からは合計所得200.4万円以下の人は95万円、それ以上の人は58万円という事で見直されていました。

今回はその基礎控除が所得によって104万円に…という、そんなお話。

今度こそ住民税の基礎控除は当然ですが、給与所得控除の範囲とかもしっかり触れてもらいたいところですね、税制大綱が出てから書けばよかったのですが、なかなかのお話なのでメモ書き程度に色々考察してみようと思います。

「年収の壁」178万円に引き上げ 自民・国民民主が合意文書に署名 2026年度「税制改正大綱」19日に決定へ

前提として、基礎控除は「最低限の所得には税金を課さない」という生活保障の制度です。

年収665万円までの人という事で設計予定のようですが、生活保障のための控除を下げても問題ないと判断…つまり「高所得者」という扱いになります。

No.1199 基礎控除-国税庁

令和6年分以前は2400万円超から基礎控除を48万→32万と落としていました。
そして令和7年と令和8年分では2350万円超から58万→48万に落とし、
令和9年分でも同様に2350万円超から58万→48万に落としています。

つまり、基礎控除を下げても構わないと判断する高所得者は合計所得2350万円超の方を指すものとしていると思います。

とはいえ合計所得2350万円の方にまで基礎控除を拡げてしまえば、本来届けたかった層とは別の層にまで効果が拡大してしまいうまく効かせられないのも確か。

次に国税庁のページ「No.1410 給与所得控除」を見てみましょう。

現状の給与所得控除で見てみると、「850万1円以上」で控除の上限に達します。

「必要経費を概算で給与所得から差し引く制度」である給与所得控除の目的から見ればそれ以上稼いだとしても現状「850万1円以上」稼ぐ人にはこれ以上の控除は必要ないと判断された…つまりそこが高所得者との境目ではないかと思います。

…まぁ必要経費を概算で給与所得から差し引くという時点で物価高騰を考えればここも当然上限は物価と連動して上げるべきだと思っています。

年収665万円までの人が基礎控除104万円

【基礎控除の額】給与所得のみの場合とその他の所得がある人で違いますが、まずは「収入が給与だけの場合」で表示します。

たまきチャンネル 【速報】年収の壁 178万円に引き上げで合意 皆さんの手取りが増える! 玉木雄一郎が感謝!より

ソースはたまきチャンネルの最新動画より。

665万5,556円までの人 → 104万円
850万円までの人 → 67万円
2545万円までの人 → 62万円

続いて「収入が給与だけではない場合」。

489万円までの人 → 104万円
655万円までの人 → 67万円
2350万円までの人 → 62万円

昨年と比べて変わった点(基礎控除の見直し等)-国税庁

あれ?655万円じゃなかったっけ?と確認してみたら、給与だけの場合と株やその他所得がある人は上限がかなり控えめになってしまうようですのでご留意を。

そもそも物価高など金利も上がっていく中、現状を見れば明らかにもう一段階(665万ではなく850万)は上げた方が良かった気がしますが給与所得控除の上限を見ているという事もあるのでしょう。

実際にギリギリの対象者がどうなるか試算してみる

月額71万円の方と月額72万円の方でその他の条件が同じだった場合、基礎控除の違いで所得税や住民税がどれだけ違うのか見てみましょう。

給与所得控除も住民税の基礎控除も変わらないものと仮定します。

月71万円の方は合計所得金額が657万円なので基礎控除を満額の104万円受けることができますが月72万円の方は665万5,556円を超える為、基礎控除が67万円に減額されます。

所得控除は社会保険料のみだとして、月72万円もらっている人側は

・給与の額は12万円多い。
・基礎控除は37万円少ない。
・社会保険料は660円多い。
・所得税は99,854円多い。
・住民税は11,900円多い。

基礎控除104万円対象の人と比べると社会保険料と所得税と住民税で112,414円多いので、給与の額は12万円多いのですが手残りは7,586円しか変わりません。

基礎控除も段階で分けるなら給与所得控除と同じように段階別かつ割合で計算されていればこのギリギリのラインの話は出てこないと思います。

給与所得控除も同じ計算にすれば複雑になるという事もないと思うのですが、なかなか難しいですね。

旧控除と104万控除ではどれだけ手残りが違うのか

これはもう散々色々なところで出ているのでわざわざ計算する必要はないと思いますが、私のための備忘録です。

基礎控除が上がることで影響するのは主に所得税、細かく言えば源泉税にも影響しますので役員報酬などの計算にも変化があると思いますがそれはまた別のお話。

基礎控除が41万増えると年収852万円の人なら83,722円手残りが増える…という事ですね、課税される所得金額がこれだけ違うと所得税率自体が下がるという場合もありますので前回の160万の壁で基礎控除が10万だけ上がったとか、給与所得控除が10万円だけ上がったけど自分にはまるで影響ないとかそんな話でしたが、今回は多少なりとも変化がありそうですね。

税制大綱を読み込むのが今から楽しみ。

ではでは。

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